1 「弁護士に依頼をするといくらかかるのか」。弁護士に相談をする際、最も気になることの一つが弁護士費用の問題だと思います。
平成16年に弁護士報酬規程が撤廃され、弁護士の報酬は自由化されました。そのため現在では、各弁護士が、自由に料金設定できるようになっています。
もっとも、現在でも、多くの弁護士が従来の弁護士報酬基準もしくは、これを修正した報酬基準を使っています。
2 弁護士費用については、①「着手金」②「報酬金」③「経済的利益」という3つの言葉を知っておくと理解しやすくなります。
①「着手金」とは、事件を受けるに際して、支払っていただく費用です。この着手金は、依頼した事件の結果にかかわらず支払っていただくものになりますので、仮に期待した結果が得られなくても返金されません。したがって、事件を依頼するにあたり、最低限支払わなければならない費用ともいえます。
②「報酬金」とは、事件の成果に応じて支払っていただく費用になります。仮に弁護士に依頼をした結果、一定の成果が得られれば、その利益に応じて報酬金が発生します。一方で、全面的に敗訴した場合など成果がまったくない場合、報酬金は発生しないことになります。
このように弁護士の費用は、着手金と報酬金の二本立てになっていることが多く、弁護士に依頼をすると事件の始めと終わりに費用が発生することが一般的です。
③「経済的利益」とは、その事件の経済的価値を現す言葉で、着手金や報酬金の金額を決める際の基準として使われます。例えば、報酬基準の一例として、「着手金は経済的利益の8%、報酬金は経済的利益の16%」などと規定されていたりします。一般的には、経済的利益の高い事件ほど弁護士費用は高くなります。
3 ここで100万円の支払いを求める損害賠償請求事件を弁護士に依頼し、その結果、相手方から60万円を回収することができたという事案で弁護士費用がどれほどかかるか試算してみたいと思います。この場合、事件としての「経済的利益」は100万円となります。そのため、弁護士が上記の基準を報酬基準としていた場合、まず事件を弁護士に依頼する際、着手金として8万円(100万円×8%)がかかることになります。
次に、事件の成果は60万円となりますので、事件の成果としての「経済的利益」は60万円となります。そのため、事件を終了する際には、報酬金として9万6000円(60万円×16%)がかかることになります(なお、印紙代や交通費などの実費は別途かかりますし、遠方に出張する場合などは日当を請求する場合もあります)。
以上は、簡単な事案を使った一例ですが、事件の内容によっては、弁護士費用の算定が複雑な場合もあります。弁護士は、ご負担していただく費用についてしっかりと理解していただいた上で、依頼者から事件を受けたいと思っています。弁護士費用に不安や疑問がある場合は、依頼を検討している弁護士に対し、遠慮なく率直に尋ねてみることをお勧めします。